【ワンピース考察】空白の100年に実在した「ある巨大な王国」とは

〝空白の100年〟
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ある巨大な王国

 ワンピースの世界では「空白の100年」と呼ばれる失われた歴史の中で滅んだ「ある巨大な王国」が存在する。

 かつて存在したその国は、おそらくDの一族や古代兵器などに深く関わりがあると考えられるが、それはどのような国で、なぜ滅ぼされたのか、物語の根幹を担う歴史の重要な要素なだけに謎が多く存在する。

 ”巨大な”王国という表現は、王国自体の勢力や文明の規模を表すものなのか、王国の存在した島の大きさを表しているのかはわからないが20もの王国が連合しなければ滅ぼすことのできない王国だとすると、王国の規模を表していると考えられる。もちろん島自体が大きいという可能性も否定できないが大きければ大きいほど跡形もなく消し去ることは困難になる。

 今回はかつて存在し、滅ぼされた「ある巨大な王国」について考察していきたい。

ある巨大な王国の存在(ONE PIECE 尾田栄一郎/集英社)

歴史の本文

 歴史の本文ポーネグリフは、光月家が代々受け継いできた石工の技術によって残された石、壊せぬ書物で、世界の重要な歴史などが記されている。

 歴史の本文ポーネグリフは、滅ぼされた巨大な王国が後世に歴史を伝えるために記し残したものだと考えられ、失われた歴史を紡ぐ重要な要素である。

 9つの情報を持つ石と、その石のありかを示す石、4つのロード歴史の本文ポーネグリフが存在し、情報を持つ石は、文章をつなげることで真の歴史の本文になると言われている。

歴史の本文について(ONE PIECE 尾田栄一郎/集英社)

 その古代文字が書かれた石は世界各地に点在するが、歴史の本文ポーネグリフが運びこまれた地域は巨大な王国の味方として戦争を戦ったと考えられる。

 例外としてアラバスタ王国は、巨大な王国と敵対した20の王国の1つであり、途中で味方についた勢力とされている。

 これまでに歴史の本文ポーネグリフはアラバスタ、オハラ、黄金都市シャンドラ、魚人島、ゾウなどで存在が確認されている。彼らは800年もの間、ポーネグリフを守り継いできた。

 しかし、魚人島にあった歴史の本文ポーネグリフが1つ無くなっていたり、四皇が保有していたりするものもあるため必ずしも元あった場所にあるとは限らないというのが現状である。

 後に世界政府となる20の連合国のうちの1つであったアラバスタやロビンの故郷オハラ、ワノ国などを除いて、かつて歴史の本文ポーネグリフが運び込まれた地域のほとんどには共通点がある。

 この共通点は失われた歴史を探る上で非常に重要であり、王国の思想とも関係してくるのではないだろうか。

ある共通点

 端的に説明してしまえば歴史の本文ポーネグリフの運ばれた土地のほとんどに共通することは、人間ではない種族が住んでいるということ。

 シャンドラの先住民シャンディアには翼があり、この翼はエネルが発見した月の遺跡に描かれていた月の民だと考えられている。

 魚人島は魚人や人魚、ゾウはミンク族が住む国が存在していて、いずれも人類とは異なった特殊な種族だといえる。

 また、エルバフにも歴史の本文ポーネグリフが存在している描写があり、巨人族との関係もあることが覗える。

 人間の10倍の腕力を有する魚人、世界最高の遊泳速度を持つ人魚、エレクトロや月の獅子スーロン化など生まれながらの戦士であるミンク族、圧倒的な戦力を誇る巨人族を味方につけながら巨大な王国はなぜ敗北しなければならなかったのか。

敗北の原因

 敗北の原因として挙げられるのは、圧倒的な人数差だろう。

 どんなに強大な力も圧倒的な数の前には及ばない。特に敵は少なくとも20の王国を率いる大軍団で、恐らくほぼ全世界を敵に回す状態だっただろうと想像できる。

 古代兵器の情報も主に歴史の本文ポーネグリフから伝えられているが、古代兵器そのものは巨大な王国の所有物だったのではないだろうか。

 プルトンに関しては所有権が曖昧で、巨大な王国が跡形もなく消え去っているという点や対抗勢力として設計図が受け継がれている点などからも敵側に奪われた時期が存在する可能性がある。

 なぜ巨大な王国の人々は、古代兵器の存在やありかについて石に書き残したのだろうか。そしてなぜ世界を滅ぼせるほどの力を有しながら敗北したのか。

 有力な説としては、古代兵器には兵器としてではない別の用途があった可能性が挙げられる。

 巨大な王国の民は世界を滅ぼせるほどのあまりにも強大なポセイドンやプルトンのような兵器を、軍事力として用いることは正しい用途ではないと判断し、魚人島の人々を地上へ送るなどの「救済」に用いようとしたと予想される。

 これは言い方を変えれば、古代兵器の力を正しく導くのがDの一族であるということになるだろう。

 しかしそれによって巨大な王国は敗北を喫し、生き残った者たちは世代を超えて、祖先の本懐を遂げるために800年以上も歴史の影で「夜明け」を待ち続けている。

世界の「夜明け」

 自分達とは異なる種を受け入れ、支配のない自由な世界をつくることが巨大な王国の目的であり、その思想と強大な戦力を恐れた世界の国々によって滅ぼされたのだろうと推察できる。

 どんなに強大な力も圧倒的な数の前には力及ばず、ポセイドンのような強大な兵器を手にしていても彼らがその力を行使することはなかった。

 造り出された歴史の本文ポーネグリフは、巨大な王国に縁のある各地域に届けられ、伝説の黄金都市シャンドラのように代々守り継いできた。

 すべては異種を受け入れ、仲間として共に戦った王国に恩義を果たすため、いつか遠い未来に訪れる世界の「夜明け」、そして彼ら自身の理想の世界のために行われたのだと感じる。

 どんな理由があれ、彼らは「空白の100年」の戦争によって滅び、その意志を800年以上もの間受け継いできた。

 巨大な王国が滅んだあと、海賊として海へ出たDの一族と石工として歴史を後世に伝えたのが光月家。

 「明けない夜はない」という言葉のようにどんな夜にも「夜明け」が存在する。

 麦わら帽子を被った海賊とその仲間たちによって、ワンピース世界の長く暗い夜が明ける日が来ることを祈るばかりだ。

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