【宇宙とワンピース】「月」

ワンピース研究・考察

月の民

 月に関する描写は今まで幾度となく登場しており、ワンピースにおいて月が重要ということは言うまでもないことだろう。

 これまでに登場した月に関するものは、「限りない大地フェアリーヴァース」に存在する古代都市ビルカ、古代壁画、光月家、「つきひめ」など数えればきりがないほどある。

特に空島編後に月に向かったエネルのその後を描いた短期集中連載「エネルのスペース大作戦」では非常に興味深い内容が記されている。

月の古代壁画1(ONE PIECE 尾田栄一郎/集英社)
月の古代壁画2(ONE PIECE 尾田栄一郎/集英社)

 この2枚の古代壁画は、ワンピースの歴史を語る上で欠かせないものであり、物語の重要なカギを握っていると考えられている。

 これらの古代壁画から、太古の昔に月の内部には翼を持った月の民が存在し、資源不足のために青海を目指したことがわかる。翼を持った月の民は3種類存在し、彼らは自らが生み出したロボットを月に残して旅立ったようだ。

 エネルが月に到達したとき、スペーシーという壁画と同じような姿をしたロボットが存在し、エネルは彼らと電気の力で手に入れた古代のロボットとともに軍団を結成している。

「古代都市ビルカ」と「空島ビルカ」

 エネルが育ったのは、スカイピアのあるエンジェル島の南東に存在したビルカという空島で、月にあった古代都市もビルカである。これは月の古代都市ビルカに住んでいた者たちが空島に降り、ビルカと名付けたのだと考えるのが自然だろう。

 エネルは空島のビルカを跡形もなく消し去ってスカイピアにやってきた。エネルがスカイピアを滅ぼそうとしたときと同じようにビルカを消したとすると、正確には跡形もなく消したというより、地上に叩き落とされたという表現が正しい。ビルカの痕跡は地上に存在しているのかもしれない。

 疑問としては、かつての月の民が移り住んだ空島の名がビルカなのであればエネルにはなぜ翼がないのか。また、月の都市ビルカの民はかつて世界にどのような影響を及ぼし、現在に至るのかなどまだまだ解決すべき謎が多い。

月の民は現在どこにいるのか

 空島には翼を持ち、壁画と同じような姿をした種族が存在する。

 コニスのように頭に触角のようなものが生えた住人とシャンディアの酋長のように動物の被り物をした住人が存在し、いずれも古代壁画の月の民と似通っている。

 資源不足で月から「青色の星」を目指した月の民は、目的地に到達したものと空島に到達する者がいたのではないだろうか。

 シャンディアのように青海で暮らす者たちと、スカイピアの住人のように空島で暮らす者がいたと考えられる。

 一方、「青色の星」の人間たちは月からやってきた民たちとどのように関わったのか。これが「空白の100年」にもつながる重大なテーマではないだろうか。

シャンドラ

 伝説の黄金都市シャンドラの先住民シャンディアにも翼があり、彼らがもともと月の都市ビルカから地上に降りた人々である可能性については先述した。

 400年前、地上にあった黄金都市シャンドラは地上から姿を消して空に飛ばされたが、400年よりも遥か昔、古代に生きたシャンディアの祖先の故郷はだったのかもしれない・・・。

シャンディアの故郷(ONE PIECE 尾田栄一郎/集英社)

 シャンディアの酋長の話では黄金都市シャンドラは歴史の本文ポーネグリフを狙うものたちとの戦いに勝利を収めたものの、滅んだとされている。

 月から来た彼らがかつて歴史の本文ポーネグリフを守るために戦い、滅んでいたという歴史は重要である。

 シャンドラが滅んでから、生き残ったシャンディアたちは、人目に触れないように鎖国に近いような形で独自の文明を築き上げてきたと考えられる。

 ノーランドがこの土地に来るまで生贄によって病や災害を鎮めようとしていたように、彼らは外界と接さないことで歴史の本文ポーネグリフを守り続けてきたともいえる。

スカイピア

 空島にはもともと人が存在していたのだろうか。

 スカイピアの住人も翼を持つ月の民の子孫だと考えられるが、空島には羽を持たない人間も存在する。ガン・フォールもその中の一人だ。

 空島ビルカやスカイピアにもともと人が存在していたと仮定するならば、月の民が彼らの居場所を侵略した可能性も考えられる。また、翼を持った人がすべて月の民を祖先にしているのであれば、スカイピアではほとんど見ることのできない翼を持たない空島の原住民はどこへ消えたのか。

 翼を持たない空島の住人は今のところガン・フォールとエネルである。彼らが月の民の子孫でない可能性は十分に考えられるが彼らの祖先はどこからやってきたのか、もしくは元々空島に住んでいた民なのかなどは不明のままである。

月の原動力

 「エネルのスペース大作戦」からわかるように、月の古代都市は電気を原動力としている。これはどういうことだろう。

 ここで関係がありそうに見えるのがミンク族である。彼らはエレクトロと呼ばれる電気を使用できる術を持ち、満月を見ることによって月の獅子スーロン化することがわかっている。

 また、扉絵で登場した宇宙海賊の姿は人型をした動物(ミンク族)のようにも見え、攻撃に電気を用いているようである。しかし宇宙海賊の電気攻撃は道具を使用しているのに対して、ミンク族は電気攻撃に道具を必要としないという違いもある。

 確実に言えることは、古代から電気というものが月の重要な資源で、何らかの手段によって月の民は電気を扱う術を持っていたということだ。宇宙では「青色の星」よりも科学技術が発達し、電気を用いた生活を古くからしていた可能性がある。

 月はワンピースの歴史の重要な要素を握っているだけに、不明な点や謎が多いのが現状だ。空島には月の民の痕跡が多く残っており、おそらく空島ビルカの唯一の生き残りであるエネルが今後どのように再登場するのか、非常に楽しみである。

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