「ジョイボーイ」と「太陽の神ニカ」
ジョイボーイと太陽の神ニカは同一人物ではない。
彼らが同一視されるようになった原因はジョイボーイがニカの意志を継いでいたということにある。つまり、白ひげの言った「遠い昔から脈々と受け継がれてきた意志」とは、数百年程度の話ではなく「神」がこの世に誕生してから、言い換えれば世界が生まれたそのときから現在までとも考えられる。
そして、ルフィはその両者の意志を継いでいるのではないだろうか。
このように考えるには、ニカが本来の意味での「神」という存在である必要がある。
ワノ国編で「悪魔」の存在や「神の国」の存在が示唆されているように、ワンピースには「神話」をモデルにした人名や技名などが多く使用されているように、「神」と「悪魔」の戦いのような「神話」がワンピースの世界でも起こっていると予想する。
意志はどのようにして受け継がれてきたのか、世界政府が「ゴムゴムの実」を危険視する理由は何なのか、考察していく。
「麦わら帽子」と〝ゴムゴムの実〟
元CP-9のフーズ・フーの話では、ルフィは「麦わら帽子」と〝ゴムゴムの実〟を継承したとされている。
「当時奴が被ってた「麦わら帽子」も〝ゴムゴムの実〟もあいつが継承しちまってんだから‼矛先はそっちを向くよな‼」
第1018話〝ジンベエvsフーズ・フー〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)
つまり、両者は継承されてきたものであり、それぞれに別のルーツを持つ可能性が高い。
「悪魔の実」は本来、海の悪魔の化身を宿したものであるため、これまで「ある1人の人間」をモデルにした能力は登場していない。しかし、本物の「神」の化身が、能力として存在するとしたらどうだろう。
旧約聖書によれば「悪魔」はもともと「神」が作り出した天使の一人であり、宗教によっては「悪魔」は「神」に敵対する存在である。
そのように考えると〝ゴムゴムの実〟は「太陽の神」の力を宿した能力であり、その能力が受け継がれてきたといえる。
一方で、「麦わら帽子」は‟空白の100年”に実在したジョイボーイから代々受け継がれてきた‟意志”だと考えられる。
このように考えると、おそらくジョイボーイもニカの能力を宿した実の能力者であった可能性が高く、‟覚醒”していたのかもしれない。
しかし、ジョイボーイは戦争に勝利することができず、その能力の‟覚醒”は世界政府による「支配」が続いた800年もの間、起きることがなかった。
世界政府は空白の100年における戦争で苦しめられたその実を危険視していたが、800年もの間‟覚醒”が起こらなかったことで世界政府にとっての重要性は失われていった。
世界政府は過去の言い伝えに基づき、800年の時を経てついに手に入れた「ゴムゴムの実」を闇の諜報機関CP-9を介して護送させ、その実の存在を消し去ろうとしたが、赤髪のシャンクスに奪われてしまった。
シャンクスが手にした〝ゴムゴムの実〟と「麦わら帽子」を手にしたのは誰あろう、「麦わらのルフィ」である。
「支配」からの「解放」
奴隷がその存在を信じたということから、「太陽の神ニカ」は人々を苦悩から「解放」することができたとも考えられる。
しかし、ジョイボーイの夢は‟空白の100年”の戦争に敗北したことによって潰えてしまった。ジョイボーイが戦争に敗北した理由については現段階では知る由もないが、それこそが最後の島ラフテルの由来にもなった「笑い話(Laugh Tale)」なのではないだろうか。
‟空白の100年”が明けた800年前から現在まで、続く世界政府による「支配」。これを「解放」に導く人物は「Dの意志」・「麦わら帽子」・‟ゴムゴムの実”を継承したモンキー・D・ルフィである。
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