【ワンピース考察】ルフィは歴史の〝最終走者〟―1話から描かれる「Anchor」に隠された秘密―

人物

 いかりとは、船が流されないように水底に固定するための器具を指します。

 第1話、ルフィが身に着ける服には大きな錨が描かれており、それを意味する英語Anchorアンカーの文字が記されています。

 実は第1話にはこの他にもいくつかの錨が描かれており、これには航海者である海賊にとって必須の道具だからという理由だけでなく、何か別の理由がありそうです。

 第1話における主な錨の登場場面

  • ルフィの服
  • マキノの酒場の外観、内観
  • 〝赤髪海賊団〟船員の腕の刺青、船員の服

最終走者

 実は「Anchor」という言葉には、実はもう1つ別の意味があります。
 それは、(特にリレーなどにおける)「最終走者」という意味です。

 「リレー(relay)」という言葉にはいくつか意味がありますが、いずれも「中継」や「交替」といった概念に由来します。

 一般的にリレーと聞いて多くの人が思い浮かべる陸上競技のリレーは数名の走者がバトンを繋いでゴールを目指します。
 もし第1話に描かれた「Anchor」が「錨」だけでなく「最終走者」の意味が込められているとしたら、そのバトンは何になるでしょうか。

ルフィとシャンクス(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 それは間違いなく〝麦わら帽子〟でしょう。

 第1話で〝赤髪のシャンクス〟が海賊を志すルフィに預けたこの帽子は、元々は彼が若き日のロジャーから受け取ったものです。

ロジャーと〝麦わら帽子〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 つまり、この帽子は〝海賊王〟を目指す人々が繋いできたバトンともいえます。

 さらにいえば、〝空白の100年〟に実在した最初の海賊〝ジョイボーイ〟もまた、〝麦わら帽子〟を被っている姿が描かれました。
 800年もの長い時間を経て、彼らが受け継いできたバトンを受け取った最終走者こそが〝麦わらのルフィ〟だった。第1話にはこんな意味が隠されていたのです。

 そして、〝聖地マリージョア〟には巨大な〝麦わら帽子〟が保存されています。

 この帽子はいったい誰のものでしょうか。
 これについてはまた別の記事でお話しますが、おそらくジョイボーイと同じ時代を生きたある人物が被るためのものだったのではないか、と考えています。

タイトルロゴ

 「ワンピースのタイトルロゴに何かしらの秘密がある」ということについて、作者である尾田栄一郎氏は過去に言及しています。

 このロゴをよく見てみると、「ONE PIECE」の「E」の文字は錨で表現されているのです。
 この錨は「O」の文字に描かれた〝麦わらの一味〟の海賊旗のドクロと繋がれており、彼がアンカー(最終走者)であることが暗示されています。

 ここで本題とは少し離れてしまいますが、少し大胆な仮説(妄想)をお伝えしましょう。

 このロゴの中に明らかに異質な文字があります。それは麦わら帽子を被った人物で表現される「I」の文字です。

 この文字だけは、なぜか「ONE PIECE」を構成する他の文字とは異なり、赤く表現されています。では仮にこの「I」が実は「I」ではなかったとしたら――。

 「ONE PECE」。このスペルでワンピースと読ませることができるとは断言できませんが、ワンピースとはつまり、「1つのピース」を表す言葉です。

 〝海賊王〟の息子ポートガス・D・エースを兄に持つ〝麦わらのルフィ〟がバトンを受け取ったレースのゴールとはいったい何でしょうか。

 「ONE PEACE(ひとつの平和)」

 戦争、差別、貧困、迫害――。
 嵐が過ぎ去った後、青色の星に訪れる〝凪〟の状態、つまり、ひとつの平和の形こそがゴールであり、引いてはルフィの〝夢の果て〟に繋がるのではないでしょうか。

エースの意志(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 「PEACE」という言葉には「ACE(エース)」が含まれています。
 頂上戦争でのエースの死なくして今のルフィはありません。
 兄の意志を継いだルフィが実現する〝夢の果て〟は、エースが死に際に立ち会えないことを悔やんだ「ONE PEACE」なのかもしれません。

 

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