血に染まるヘビ
「血に染まるヘビ」とは〝麦わらの一味〟がアラバスタ王国に向かう途中に訪れたリトル・ガーデンで登場した巨人族ドリーの発言に由来する。
どんなものでも貫く巨人族最強の〝槍〟が突き通せないものとして〝血に染まるヘビ〟という表現が使われているが、これは‟赤い土の大陸”を表している可能性が高い。青色の星を一周し、海を分断するこの大陸が〝血に染まるヘビ〟と呼ぶにふさわしいといえるだろう。
これらは比喩表現なのか、はたまた本当にヘビが巻き付いた姿が‟赤い土の大陸”なのかは定かではないが、実は『北欧神話』の中にこれに関連する伝説を見つけることができる。
『北欧神話』の大蛇
世界各地に存在する神話はワンピースとの関わりが強く、『北欧神話』もその例外ではない。例えば、エルバフの王ロキや新巨兵海賊団のゲルズなどの名前に加えて、ハイルディンの技「英雄の槍」などが『北欧神話』由来である。また、『北欧神話』では神々と巨人の終末の戦い「ラグナロク」が行われることから特に巨人族との関連が深い。
さらに作者である尾田栄一郎氏は好きな海賊の1つとして北欧の海賊ヴァイキングを挙げており、彼らが『北欧神話』の主神オーディンやトールなどを信仰していたということからも作中では核心部分などで深く関わってくる可能性は高い。
‟赤い土の大陸”と『北欧神話』の怪物ヨルムンガンドは特に関わり合いが深そうだ。『北欧神話』における毒ヘビ・ヨルムンガンドは巨人ロキの子供である。
『北欧神話』の最高神・オーディンはロキとアングルボザという巨人から生まれたフェンリル、ヨルムンガンド、ヘルという怪物が神々に災いをもたらすという予言を見たことで、彼らを追放・拘束してしまう。
そこでヨルムンガンドは海に投げられたが、その後、大地を一周するほどの大蛇に成長を遂げるのだ。これは「血に染まる赤いヘビ」と呼ばれる‟赤い土の大陸”との関連を思わせる。
実は『北欧神話』の終末の日に起こる巨人と神々の戦い「ラグナロク」では、ヨルムンガンドは陸に上がり、雷神トールと戦い、相討ちになるとされている。
空島編では〝ゴロゴロの実〟の能力者であるエネルの技「神の裁き」により、シャンドラの大蛇が倒れるという描写がある。
トールは北欧神話の雷霆神であり、ヘビであるヨルムンガンドとの戦いから着想を得たのであれば、大地をひと巻きにする伝説についてもモデルになっている可能性がある。
〝赤い土の大陸レッドライン〟の謎
〝赤い土の大陸〟がヨルムンガンドをモデルにした可能性は高いが、『北欧神話』における特徴がどこまで物語に反映されているのかはわからない。
特に〝赤い土の大陸〟にまつわる謎として自然現象によって形成されたのか、人工物なのかというものがあるが、このモデルであるヨルムンガンドがその答えを握っているかもしれない。
また、エルバフの王ロキやゲルズの存在から、ワンピースにおける最終戦争が「ラグナロク」をモデルにしている可能性もあるため、この世界を分かつ壁とヨルムンガンドの伝説は頭に入れておいて損はないかもしれない。
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