【哲学とワンピース】「テセウスの船」

ONE PIECE

「テセウスの船」

「テセウスの船」とは、「物の構成要素全てを新しい部品へ置き換えた場合、それは以前のものと同一といえるか」という、哲学におけるパラドックスの1つである。

 テセウスは『ギリシャ神話』における英雄で、クレタ島の迷宮ラビュリントスに住む怪物ミノタウロスの討伐や女族アマゾンやケンタウロスとの闘いなど、数々の伝説が知られる。

 アテネ王テセウスは、国民がミノタウロスに生贄として捧げられていることに怒り、討伐に向かった。この時、彼が乗り込んだ船が「テセウスの船」である。

 彼の功績を讃え「テセウスの船」は後世へ受け継がれたが、建材の老朽化に伴って古くなった箇所が徐々に新しい部品へ置き換えられていった。

 こうして、すべての部品が交換されたこの船が、テセウスがミノタウロス討伐に向かった船と同一といえるか、という命題が生まれたのである。

ゴーイング・メリー号

 船大工の町ウォータセブンにて、ゴーイング・メリー号の修繕を依頼した〝麦わらの一味〟は、この「テセウスの船」に関わる問題に直面する。

メリー号と「テセウスの船」(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 船大工達は「竜骨」という船の土台部品の損傷から、この船を治すことはできないと伝えた。

 そこでルフィはメリー号と同じ船を新しく作り直すことを提案するが、そこでルッチは「テセウスの船」の命題を真っ向から否定したのである。

2つ目のメリー号(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

テセウスの伝説

 「テセウスの船」以外にも、テセウスに関わる様々なものが作中に登場している。

ミノタウロス

 テセウスが倒したというミノタウロスは、〝獄卒獣〟としてインペルダウンで登場する。

インペルダウンのミノタウロス(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

神話におけるミノタウロスは半人半牛の怪物で、ミノスの妃パシファエが牡牛と交わって生んだ子供である。

 ミノタウロスは、迷宮ラビリントスに閉じ込められ、アテネから送られてくる人身御供の少年少女を食うことで養われていた。

アマゾン

 また、テセウスが制圧したという勇猛な女武者からなる民族アマゾンは、女性戦士の国アマゾン・リリーのモデルである。

アマゾン・リリーの戦士(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 女人国アマゾンに遠征したテセウスは、アマゾンの女王(もしくはその妹)を攫って結婚し、息子をもうけた。これにより、アテネまで攻めてきたアマゾンを撃退したという。

ケンタウロス

 神話における半人半馬の怪物ケンタウロスの名は、パンクハザード編で登場した。

ケンタウロス(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 彼らは野蛮かつ好色な種族で、ラピタイ族の王ペイリトオスの結婚式に招かれた際、数人が酩酊してラピタイ族の女を犯そうとしたことで、戦闘となった。

 ペイリトオスの親友テセウスもこれに加勢し、激戦の末にケンタウロス族を撃退した。

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