堕天使
『キリスト教』において、神は7日間で世界を創造した。
神の創造した「天使」の中で、神に反逆し、下界に堕とされた者を「堕天使」という。「堕天使」とは『キリスト教』において「悪魔」を指す言葉である。
堕天使の長ルシファーは、特に西方教会において悪魔の長サタンと同一視される。
「サタン」はヘブライ語で「敵対する者」を意味し、その名の示す通り、堕天使は神に反逆して天上界から下界に堕とされた。「サタン」の存在は作中に既に描かれている。

バーソロミュー・くまにより、ブルックがシャボンディ諸島から飛ばされたのは、悪魔王サタン召喚の儀式を行う〝偉大なる航路〟ナマクラ島の貧困国「ハラヘッターニャ」だった。
これと対比されるような形で、エッグヘッド編では〝五老星〟の1人ジェイガルシア・サターン聖が登場している。
「堕天使」もまた、空島編で描かれている。
空島では、翼を持ったスカイピアの住人達を「天使」と表現しており、サンジがコニスに向けて作った弁当の名前には「堕天使」が用いられた。

堕天使は聖書に明確な記述はないものの、一般的に黒い翼を持った姿で描かれる。一方で天使は白い翼を持っている。
つまり、ワンピースにおける翼を持った「天使」の存在は、黒い翼を持った〝ルナーリア族〟を「堕天使」として描いている可能性を示唆している。
神の国
かつて〝赤い土の大陸〟の上には「神の国」があったとされ、その赤い壁の上には発火する種族〝ルナ―リア族〟が住んでいたという。
つまり、彼らが青海において〝神〟と呼ばれた時代があった。この時代の〝ルナーリア族〟は、神に敵対した堕天使とは対極の存在といえる。
しかし、その後の歴史において彼らは、その天上の国から堕ちた。

時代・立場・価値観によって〝正義〟と〝悪〟が塗り替わり姿を変えるように、〝神〟と〝悪魔〟もまた変化していく。
空島編において空の騎士ガン・フォールは、〝神〟を自称するエネルを〝悪魔〟と表現した。

〝青色の星〟に堕ちた天使
堕天使〝ルナーリア族〟は青海における天上界〝赤い土の大陸〟から堕とされたが、彼らが〝堕ちた〟のは、これが初めてではないかもしれない。
スペイン語で「ルナ:luna」という言葉には「月」という意味があり、「ルナーリア:lunaria」はラテン語で「月のような」という意味がある。

エネルの故郷〝ビルカ〟において〝神〟は〝限りない大地〟に存在するとされ、青海の人々はかつて月から降りてきた彼らを〝神〟と呼んだのかもしれない。

短期集中表紙連載〝エネルのスペース大作戦〟で描かれた月の壁画には、太古に生きた〝月の人〟が描かれていた。
壁画に黒い翼を持つ者は描かれていないが、翼を持った〝ルナ―リア族〟が〝月の人〟であれば、この壁画の記述と符合する。
つまり、彼らは天上においても〝神〟に敵対し、青海に堕とされたのかもしれない。
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