アン
「最悪の世代」で唯一の女海賊ジュエリー・ボニーのモデルとなった人物は、アン・ボニーという18世紀にカリブ海で活動した女海賊である。
エースと彼女の関係を示唆する最大の根拠は、エースの母ポートガス・D・ルージュのある発言だ。
『女の子なら「アン」男の子なら………「エース」』
出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社
エース誕生の場面にわざわざ「アン」の台詞を差し込んだ背景には、何らかの意図がある。ここからアン・ボニーをモデルとするジュエリー・ボニーとエースの関係が囁かれたわけである。
だが、実はアンという名前の人物は既に登場している。
この歌姫アンという人物は、東京ワンピースタワーのLIVE ATTRACTIONシリーズや劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』といったいわば原作外に登場した「そばかす」を持った女性だ。
この歌姫の登場によって、ボニーとエースの関係は白紙に戻ったかに思われた。
しかし、彼女の設定に記された「そばかすあり」の文字と、ある人物の登場によって、彼らの関係にまつわる考察は新たな展開を迎えることになる。
そばかす
海賊王ゴール・D・ロジャーの息子にしてルフィの義兄弟ポートガス・D・エースの持つ特徴の1つが両ほほのそばかすである。
そばかすを持つ人物は歌姫アンやエースの母ルージュ、ボニーの海賊団の船員の1人を除けば、これまでそれほど多くは描かれていない。
『ワンピース』の作者・尾田栄一郎氏はかつて『少年ジャンプ』にて連載された人気漫画『るろうに剣心』の作者・和月伸宏氏のアシスタントを務めた時期があり、両者は師弟関係にある。
尾田氏の和月氏へのリスペクトは、『るろうに剣心』の主人公・緋村剣心と同じく顔に傷のある赤髪の剣士を作中の重要人物として描いていることからも窺える。
後にアニメ化された『るろうに剣心』には、代表曲ともいうべき主題歌が存在する。それこそJUDY AND MARYの歌う『そばかす』である。
ジニー
1096話〝くまちー〟では、後にルフィの父モンキー・D・ドラゴンと共に革命軍を組織することになるバーソロミュー・くまとエンポリオ・イワンコフの幼少期が描かれた。
そこにいたのはそばかすを持ったジニーという人物だ。その名からもわかるように、ジニーはボニーと血縁のある人物と考えられる。
彼らがいたゴッドバレーには〝ロジャー海賊団〟が現れており、ガープと共に奴隷達を守ったとされる。ここで助けられたのがくま、イワンコフ、そしてジニーということになるだろう。
ロジャーはゴッドバレー事件から16年後、処刑されることになるが、投獄の直前、〝南の海〟にあるバテリラという島で父親を思わせる行動をとったとされる。〝南の海〟はボニーの出身地でもある。
ベガパンク
ベガパンクには本体の「星」と6つの「猫」が存在する。
「猫」のうちの1つ「暴」はジニーの幼少期とよく似ている。
その1つ「欲」にはそばかすがあり、ボニーと同じ「大食らい」という特徴を持っている。
「猫」の中で人間のような姿をしているのは「暴」と「欲」と「悪」のみ、つまり、ベガパンクはジニーの血統因子を用いて彼らを作ったのかもしれない。
ルージュ
ロジャー処刑の後、海軍は彼に関係する人物を捕らえて回った。ルージュは子を思う一心で20か月もの間、ロジャーとの間にできた子供エースを腹に宿していた。
はたして子を思う一心だけで、子供を20か月も宿していられるだろうか。ここで注目したいのはボニーの持つ「年齢を操る能力」である。
ベガパンクの発言からボニーはまだ子供であることが判明しており、ボニーの持つ能力には、ルージュと同じ時代を生きた「前任者」が存在したはずだ。
この「前任者」についてはまだわからないが、少なくともそばかすを持つ奴隷のジニーがルージュの血縁者の可能性がある。
くまが後に国王を務める「ソルベ王国」も〝南の海〟に存在する。おそらくジニーはくまと共に行動すると考えられるため、彼らのこれからの物語にルージュが関係する可能性はあるだろう。
ルージュとボニーがともに同じ桃色の髪をしていることも興味深い。
この〝南の海〟で後に誕生するボニーという女性が「そばかす」を特徴に持つ人物達によってエースと繋がるかもしれない。
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