象主(ズニーシャ)
象主は、ミンク族の国「モコモ公国」を背中に乗せて歩き続ける巨大な象である。
彼は大昔に罪を犯して以来、歩くことしか許されていない。作中の生物の中でも圧倒的な大きさと1000年もの寿命、そして長い脚が特徴である。
「ズニーシャ」という名は、インド神話においてシバとパールバティーの間に生まれ、象の頭を持った「智慧と幸運の神」ガネーシャがモデルである。
現代のヒンドゥー教では、「富」や「愛」をもたらす「幸福の神」として人気がある。
実は象主には他にもモデルが存在しており、それこそがスペインが生んだ20世紀を代表する画家サルバトール・ダリの描いた『象』という作品である。
象主の学名は「ナイタミエ・ノリダ象」であることが83巻のSBSにて明かされており、この学名を逆から読むと「ダリの絵みたいな」となる。
このダリが描いた『象』という作品は1948年に制作され、原題は「The elephants」という。
ダリの『象』
この作品に描かれている象は「宇宙象」とも呼ばれ、1946年の「聖アントワーヌの誘惑」以降の様々な作品に描かれていた。
1948年に制作されたこの『象』は、初めて「宇宙象」が主役として描かれた作品で、「地上のどんな権力も宇宙では無力」ということが表現されている。
象は神話などにおいて「強さ」や「重さ」、「支配」や「権力」の象徴とされてきた。しかし、ダリが描く『象』は、むしろそのようなイメージとは対極の表現がなされている。
象はとても重い生物であるが、ダリの描く象はとてもその体重を支え切れないような細長い脚を持っている。これは、宇宙における無重力空間での「無力さ」を表現しているという。
また、背中のオベリスクでさえも象の背中に接しておらず浮いているように見えるため、この宇宙における無重力と地上における権力を対比させた作品となっている。
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