【動物とワンピース】「世界政府」の〝犬〟たち

ONE PIECE

「世界政府」と〝犬〟

 ワンピースには〝犬〟に関係のある名を持つ人物が多く登場しており、彼らにはある共通点がある。それは、彼らが「世界政府」と深い関わりを持つという点だ。

「世界政府」三大機関(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 「世界政府」は「海軍本部」「エニエスロビー」「インペルダウン」という3つの機関を持ち、青色の星に存在する170以上もの国々が加盟する巨大な組織だ。

 そして、その各機関には様々な犬達が在籍しており、彼らは「犬」という言葉の持ついくつかの意味を体現している。

 「犬」という言葉は「むだで役に立たない」「卑しめ軽んじる」というような意味を持ち、また、飼い犬のように「主人に従順な人」を罵って使われることもある。

 他にも、スパイのように「他人の秘密などをかぎ回って報告する者」という意味もある。

 では、これまで登場した「世界政府」に関わりのある様々な「犬」について解説していこう。

ガープ

モンキー・D・ガープ(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 モンキー・D・ガープは、ルフィの祖父にして、海軍中将の地位に就く海兵である。

 ガープが初登場した短期集中表紙連載〝コビメッポ奮闘記〟において、彼は犬の被り物をして犬の顔を船主にした軍艦に乗って現れた。

ガープの船(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 当時のガープは、ルフィの祖父であることが明かされておらず、捕らえられたモーガンに斬りつけられ、取り逃がしてしまうほどの役に立たない海兵として描かれていた。

 役に立たないという言葉で片付けることには抵抗があるが、自由で、少しうっかりしたその性格から、隠していたルフィの父の名を明かしてしまうこともあった。

 ウォーターセブンではルフィを一度逃がそうとしたり、頂上戦争でもエースを救うルフィに殴られたりと、大将ほどの実力を持つ海兵にもかかわらず、たまに役に立たないことがある。

〝王下七武海〟

〝王下七武海〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 〝王下七武海〟は政府直轄の特例を受けた海賊達である。政府に従い行動する彼らを〝政府のいぬという表現することもある。

 しかし実際のところ、政府という主人に従順な〝七武海〟は登場しなかった。

 その証拠に、〝七武海〟所属歴のある海賊達はその名に動物が含まれているが、犬の名を持つ人物は登場していない。

コーギー

コーギー(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 コーギーは、古代兵器〝プルトン〟の設計図を見つけ出すため、ウォーターセブンの市長アイスバーグに接触していた政府の役人である。

 つまり、彼は他人の秘密をかぎ回って報告する犬ということだ。強い嗅覚を持つ犬よろしく、彼は海賊のニオイも嗅ぎつけていた。

 コーギーという名は、一般的にコーギーとして親しまれる英国ウェールズ地方原産の牧羊犬、ウェルシュコーギーに由来している。

バスカビルと法の番犬部隊

 エニエス・ロビーでは、司法の島の裁判長バスカビル〝法の番犬部隊〟が登場した。

〝3つの首のバスカビル〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 「バスカビル」という名は、コナン・ドイルの小説『バスカビル家の犬』に由来している。

 さらに、彼は『ギリシャ神話』に登場する冥界の番犬「ケルベロス」のような3つ首を持っていた(実際には三つ首の人間ではなかった)。

〝法の番犬部隊〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 バスカビルがケルベロスに由来するという証拠として、裁判所には〝法の番犬部隊〟という衛兵が登場している。

ドーベルマン

ドーベルマン(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 エニエス・ロビー編では、ドーベルマンという海兵がバスターコールにより召集された中将の1人として登場した。

 彼の名は、軍用犬や警察犬として利用されるドイツ産の大型犬ドーベルマン・ピンシェルに由来し、後の頂上戦争でルフィの資質とその脅威を感じ取っていた。

ダルメシアン

ダルメシアン(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 頂上戦争では、ダルメシアンという海軍中将も登場している。

 おそらく〝イヌイヌの実〟の能力者である彼は、クロアチアのダルマチア地方の原産であるダルメシアンと同じく、白地に黒の斑点を持つ模様の犬の姿でルフィを苦しめた。

赤犬

〝赤犬〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 海軍元帥〝赤犬〟もまた、その異名に「犬」という言葉を持つ。

 同時代に〝大将〟として君臨した〝青雉〟が海軍を辞め、〝黄猿〟が政府に不信感を抱いた描写が描かれたが、彼は「元帥」として今も自らの〝正義〟を貫いている。

 過剰な〝正義〟を貫く彼は〝正義〟の狗ともいえるかもしれない。

ミノチワワ

 インペルダウンには、ミノチワワという新しい獄卒獣が追加された。獄卒獣は、驚異的な身体能力を持ち、獄卒長であるサディちゃんに従順な怪物達である。

 その名の通り、メキシコのチワワ州を原産とする犬種の獄卒獣である。

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