ウソップが死ぬ!?
ウソップ死亡説の大きな根拠の1つはウソップの夢に由来する。
〝麦わらの一味〟の狙撃手であるウソップは〝勇敢なる海の戦士〟になることが夢である。彼のいう理想の戦士についてはリトルガーデンにて詳しく言及されており、ウソップはリトルガーデンにて登場した巨人ドリーとブロギーを見て〝勇敢なる海の戦士〟とはまさにこういうものだと発言していた。
ウソップの言う〝勇敢なる海の戦士〟とはエルバフの巨人達のように誇りを滅ぼすことなく死を迎えることで達成される。エルバフの巨人達を見たウソップは、自らの最期についても言及している。
このウソップの夢こそがウソップ死亡説の大きな根拠といえるだろう。
ウソップ死亡説を裏付ける根拠は実は他にもいくつか存在する。
ワンピースについて知ったら死んでしまう病
ウソップの死にまつわるウソが最初に登場したのはココヤシ村におけるウソップ海賊団のメンバーとの会話の中で発現した「おれはおやつを食わねば死んでしまう病なんだ」というものだ。
さらにアラバスタ編では「これ以上歩いたら死んでしまう病」というウソもついている。つまり、このウソが実現するならばウソップ死亡説は確定的である。
実際にウソップのウソは現実になってきているが、ウソップの死にまつわるウソが現実になるとしても、この病がいつウソップを死に至らせるかについては実は言及されていない。
シャボンディ諸島におけるレイリーとの会話では「ワンピースについて知ったら死んでしまう病」と発言している。このあまりにも多く登場するウソップと死を結びつける発言は、ウソップの死を匂わせている可能性がある。
一方で、病に関するウソというのは、ウソップ自身が母親についた「どんな病気も治しちゃう伝説の薬」というウソと相反するものであり、チョッパーの「万能薬になる」という夢とも対立関係にある。
ウソップにかかった死に至る病は果たして治るのか、それとも物語終盤にウソップの死が描かれることになるのだろうか。
ウソップとノーランド
ウソップと空島編で登場したモンブラン・ノーランドは対比させて描かれている。
彼らは一方は本物の「うそつき」、もう一方は類まれなる「正直者」と言われているが、ウソップは〝新世界〟に入ってウソが現実になることを実感しており、結果的に「正直者」になろうとしている。
「うそつき」の汚名を着せられ、400年前に処刑されたモンブラン・ノーランドは、植物学者として小人族の住むドレスローザ近海の島グリーンビットを訪れており、空島編にてノーランドを知っていたウソップは、自らをノーランドの子孫「ウソランド」と偽った。
400年前にトンタッタ族の国を訪れたノーランドは、悪い人間に島を荒らされて困っていた小人族の前に現れ、共に戦って彼らを勝利に導いた。彼らのヒーローとなったノーランドと同様に、ウソップもドレスローザ編における活躍によって小人族のヒーローになった。
このような対比から、ウソップはノーランドと同様に処刑によって最期を迎えるのではないか、という可能性も否定はできない。
ウソップとイソップ
イソップと言えば有名な『イソップ寓話』で知られる人物で、ウソップという名前はイソップからとったと考えられる。ウソップが仲間になったシロップ村での物語が『イソップ寓話』の1つ『オオカミ少年』がオマージュされていることからもその関連が強い。
イソップは紀元前6世紀頃に実在した人物で、サモス人の奴隷だったものの、その話術によって解放されたと言われている。
興味深いのはイソップの最期で、彼は寓話の語り手として各地を巡る途中に、デルフォイという町で「話が巧すぎるため国家を乱す」と危惧されて無実の罪を着せられて処刑されたと言われている。
無実の罪を着せられて処刑されたというのはノーランドと同じである。イソップは死ぬ間際までなんとか助かるために喋り続けたが、最後は崖から落とされて死亡したそうだ。
このイソップの死の間際の行動や話の巧さは、ウソップとも関連が強いことは間違いない。イソップの死はノーランドの死のモデルになった可能性が高いため、ウソップの死がイソップのようなものになるとは限らないが、このイソップも「ウソップ死亡説」の根拠となりうる。
ウソップの死については様々な根拠が存在するが、どれも確実な証拠とは言い難い。ウソップの死が描かれるとすればその最期とはどのようなものだろうか。読者が納得できる死を描くというのも難しい問題である。
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