マクシムの設計図
スカイピアにおいてエネルは神である自分自身が〝限りない大地〟に到達するために方舟マクシムを神隊に造らせた。マクシムは電気の力で空を飛ぶというその特徴からわかるように、複雑な回路などが記された設計図が存在するはずである。
では、果たしてエネルはマクシムを設計した人物なのだろうか。
結論から言えば、マクシムを設計した人物はエネルではない。エネルがマクシムを設計したのであれば、「私は舟の動力回路くらい熟知している」などという発言はしないはずだ。
この「ビルカで〝噴風貝〟をかき集めた」という発言から、エネルがマクシムの設計図を故郷である空島ビルカで手に入れた可能性が浮かび上がる。
もしそうだとするとビルカの人々は何の目的のためにマクシムを設計したのだろうか。
その答えは短期集中表紙連載〝エネルのスペース大作戦〟から読み解くことができる。月にあった壁画によれば、エネルが見つけた古代都市の名はビルカであり、月にいた人々は風船のようなものを持って宇宙空間をさまよいながら青海へ降下してきたと考えられる。
つまり、資源不足によって青色の星にやってきた彼らが月に帰るには空を飛ぶための動力を持った宇宙船が必要となる。それこそが空島ビルカの人々がマクシムを造った理由だ。
そこで彼らは遠い昔に「マクシムの設計図」を造ったが、それをエネルによって奪われてしまった。さらにエネルが奪ったものはもう1つある。それは〝ゴロゴロの実〟だ。
マクシムには電気の力が不可欠であり〝ゴロゴロの実〟がなければ空を飛ぶことができない。エネルは本来、月からやってきた空島の人々が乗る舟に自分だけが乗って月に辿り着いたと考えられる。
しかし、マクシムは元々〝ゴロゴロの実〟を原動力にするために造られたのではないという可能性が高い。なぜなら月の古代都市もマクシムと同様に電気を原動力としているからだ。
〝悪魔の実〟が青海の果実であるという可能性を踏まえれば〝ゴロゴロの実〟が存在しなかった月において電気を原動力とした都市が存在するのは不自然であり、そもそも能力の伝達条件がわからない時代に〝悪魔の実〟だけに頼っていたとは考えにくい。
月の古代都市に生きた人々が電気を扱えた理由は「ミンク族」にあると考えられる。これはマクシムを設計した空島の人々が月に帰ることができなかった理由と密接に結びついている。
なぜ月に帰らなかったのか
なぜ空島の人々は「マクシムの設計図」があったにもかかわらず月に帰らなかったのか。それには2つの要因が考えられ、1つは動力である電気の力を使えなかったこと、そして2つ目は電気を伝導する物質が空島に存在しなかったことだ。
マクシムは本来〝ゴロゴロの実〟ではなく、ミンク族の扱うエレクトロを動力とするために設計されたと考えられる。
しかし、ミンク族が空島に行くことができなかった、もしくはそれを拒んだためにマクシムは動力にミンク族の力を使うことができなかった。
また、空島にはマクシムの動力に不可欠な伝導体が存在しなかった。しかし、それは偶然にも400年前に〝突き上げる海流〟に乗ってやってきた。それこそが黄金都市シャンドラに存在した黄金である。
エネルは故郷の空島ビルカを滅ぼし、黄金を求めてスカイピアにやってきた。そしてマクシムの製造を神隊に命じたである。そしてどういうわけかエネルは〝ゴロゴロの実〟の能力者であった。
エネルがこの実をどうやって手に入れたかは不明であるが、エネルがビルカを滅ぼすまでにビルカ以外の場所に行ったことがないのであれば、ビルカで手に入れたとしか考えられない。〝ゴロゴロの実〟はマクシムの原動力となるミンク族を失った空島ビルカの人々が青海から持ってきて、代々受け継いできたものかもしれない。
そしてマクシムと電気の能力を手に入れたエネルは月へと旅立った。
設計者
これまでの考察を踏まえると、マクシムは空島にある資源で飛べるように設計されていないことがわかる。つまり、この舟は青海で設計された可能性が高い。
では誰が設計したのだろうか。マクシムは舟とは言っても海を航行するための舟ではなく、空を飛ぶ舟である。つまり、おそらくウォーターセブンの船大工だけでは造ることができない。電気を使うような高度な技術は青海に存在しないため、これは月の技術によってつくられていると考えられるだろう。
マクシムの設計が可能な人物はDr.ベガパンクやツキミ博士のような高度な技術を持った人物だ。そして彼らの祖先はおそらく地球外生命体である。
青海にあった資源を利用して月に帰ることを計画していた彼らは何らかの理由によって目的を果たすことができなかった。数百年が経ち、先祖達の月帰還への思いは〝憧れ〟へと変わった。
しかしまだエネルはマクシムを持っている。今後エネルの再登場と共に、方舟マクシムが空島の人々を月に運ぶという本来の役目を果たす時が来るのかもしれない。
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