‟不自然”な空島
空島編におけるエネルの発言によれば「雲でもないのに空に生まれ鳥でもないのに空に生きる」空島とそこに住む人々は‟不自然”な存在であるようだ。
この発言時には考古学者であるロビンやワイパー、ガン・フォールなど青海の歴史や空の歴史に見聞のある人物が何人かいたが、空島の民をあるべき場所へ還す「還幸」を行うと宣言したエネルが語った空島の‟不自然”さについては誰一人として否定していない。
つまり、空島に生きる人々の存在は不自然なものであり、空島自体が元々は存在していなかったものである可能性が高い。空島の形成についてはコニスの父であるパガヤが説明しており、空の人々は自然的要因によって既に形成されていた空島にどこからか移住してきたと考えられる。
では、空島の人々はどこからやってきて、どのような経緯で空島に住むことになったのか、考察していく。
どこから来たのか
空島の人々の祖先がどこからやってきたのかに関しては、短期集中連載「エネルのスペース大作戦」にてある程度明かされている。
空島の人々には‟翼”があり、この翼は古代に月に住んでいた‟月の人”と同様の特徴を持つ。
スカイピアでは400年前に〝突き上げる海流〟に乗って空にやってきたジャヤの片割れ「神の島」を空に住んでいたスカイピアの住人が侵略したことで、「神の島」の住人だったシャンディアとの争いが勃発した。
スカイピアの住人とシャンディアの住人はそれぞれ空の民と青海の民であるにも関わらず、いずれも翼が生えており、古代壁画に登場した3種の‟月の人”のうち2種と非常に似ている。
おそらく古代に‟月の人”は資源不足により青海を目指し、何らかの経緯を経てスカイピアに住んでいた民は空島にシャンディアは青海のジャヤに住むこととなったと考えられる。
さらに月の古代都市〝ビルカ〟はエネルの故郷である空島〝ビルカ〟と同名であり、月からやってきた者たちは各地に散らばって空に根付いた者と青海に根付いた者がいたことは間違いないだろう。
そして、何の因果か青海に降りたシャンディアは400年前に〝突き上げる海流〟によって空に運ばれてしまう。元を辿れば、スカイピアの住民とシャンディアの空の戦いは、いずれも月にルーツを持つ種族同士の戦いであったと推測される。
〝月の人〟と〝青海の人〟
400年前のシャンディアとスカイピアの民の争いのように、古代に月からやってきた人々と青海に元々暮らしていた人々の間にはおそらく争いがあった可能性が高い。
月にルーツを持つ人々が各地に散らばった理由もこれらの争いやその他の様々な要因によって結果的に起こったものだと推察できる。
翼を持った〝月の人〟はいつ青海を目指したのだろうか。
おそらく彼らが月を離れたのは〝空白の100年〟以前ではないかと考えられる。月からやってきた人々の存在はジャヤのシャンディアだけでなく、800年前に生まれたとされる光月トキが唄っていたという「つきひめ」や数々の翼を持った人々の存在で示唆されている。
ワンピースにおいて‟翼”は装飾的な意味を持っていることも多いが、シャンディアやスカイピアの住人のように祖先が月にいたという可能性もある。
‟最悪の世代”の超新星の一人であるウルージや百獣海賊団の大看板の一人でルナーリア族であるキング(アルベル)にも翼が存在している。
彼らの翼は非常に大きく、キングに関しては黒い翼という特徴がある。各地に散らばる翼を持った人々の全てが〝月の人〟とは限らないかもしれないが、月の古代壁画からも少なくとも3種の翼を持った人々が青海を目指したということが確認できる。
彼らが青海の歴史にどのような影響を及ぼしたのか、どのような経緯で空島に住み始めたのか、〝空白の100年〟や「巨大な王国」とどのような関係があるのか、謎は深まるばかりだ。
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