ドフラミンゴとロシナンテ
ドレスローザ編では、800年前に「世界政府」を創設した王族の1つであるドンキホーテ一族の血を引く兄弟ドフラミンゴとロシナンテ(通称:コラソン)の過去が描かれる。
ドフラミンゴは〝天竜人〟の地位を捨て人間になった実の父ホーミング聖を自らの手で殺した生まれながらに「悪」の性を持つ兄である。
その狂暴性に早くから気付いていた心優しき弟のロシナンテは、海兵としてドンキホーテファミリーでスパイ活動を行っていた。
この相対するドンキホーテ兄弟と彼らの悲しい結末は、『旧約聖書』に登場するある兄弟の結末と酷似している。
その兄弟の名はカインとアベル、人類の起源とされるアダムとイブの実子であり、人類最初の殺人の加害者と犠牲者である。
カインとアベル
カインとアベルは旧約聖書『創世記』第四章に登場する兄弟である。彼らはアダムとイブが「善悪の知識の樹」になる「禁断の果実」を食べて「エデンの園」から追放された後に生まれた。
「エデンの園」からの追放「失楽園」は、ホーミング聖の「人間宣言」に対比される。
『旧約聖書』において「エデンの園」は、神がつくりだした人間が住む楽園であり、〝聖地マリージョア〟もまた、青色の星で〝神〟とされる〝天竜人〟の住む土地である。
そして、アダムとイブは「禁断の果実」を食べることで、ホーミング聖とその妻は「人間宣言」を行うことで、下界に降りた。
彼らの子供はそれぞれカインとアベル、ドフラミンゴとロシナンテである。
人類最初の殺人事件
兄であるカインは人類最初の殺人事件の加害者とされ、弟のアベルはこの被害者である。
カインは農耕を、アベルは牧畜を行うようになるが、2人が収穫物を神へ捧げた時、神はアベルの供物だけを喜んだ。この時、神はカインを試したとされるが、カインはアベルを憎み殺害してしまう。
ホーミング聖とその妻の間に生まれた2人の兄弟もまた、同じ運命を辿っている。
ドフラミンゴは海賊として、ロシナンテは海軍に入隊し海兵として生きるようになるが、ドンキホーテファミリーにスパイとして潜入していたロシナンテをドフラミンゴは殺害してしまう。
創造主から生まれたアダムとイブ、創造主の血を引くホーミング聖とその妻、そして、彼らから生まれたそれぞれの兄弟は奇しくも全く同じ運命を辿ったのである。
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