【日本文学とワンピース】『鶴の恩返し』

文学

『鶴の恩返し』

 『鶴の恩返し』は、鶴が人間に恩を返すという内容の日本の民話です。新潟や山形などの北国が発祥と考えられていますが、類似した物語は全国に点在しているようです。

 鶴を助ける人物は、物語によって若者だったりおじいさんだったりと、いくつかの異なる筋書きが伝わっているようです。

 昔々、貧しいけれど心の優しい若者がいました。
 ある日、罠にかかった一羽の鶴を見つけ、彼は鶴を助けてやります。

 その夜、美しい娘が若者の家を訪ねてきて「泊めてください」と言います。やがて二人は夫婦のように暮らし始めました。

 しかし時折、その娘は「絶対に覗かないでください」と言い機織り部屋に籠ります。彼女が織りあげた布は、見たこともないほど美しく、高値で売れました。

 貧しかった若者は大いに助かりますが、娘はだんだんとやつれていきます。不審に思った若者は、とうとう約束を破って部屋をのぞいてしまったのです。 

 そこにいたのは、羽を抜いて布を織る一羽の鶴でした。

 正体を知られてしまった鶴は涙ながら「お世話になったお礼に布を織っていました。でも、もうここにはいられません」と告げ、空へ飛び立ってしまいました。

『鶴の恩返し』

〝お鶴の恩返し〟

鶴の恩返し(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 第913話〝鶴の恩返し〟にて、川の毒を飲んだお玉を医者へ連れていくため編笠村を出発したルフィは、追い剥ぎからお鶴を救うゾロと遭遇します。

 お鶴は恩返しにと、傷を負ったゾロとお玉の手当てを提案します。彼らはこれを受け入れ、お鶴の営む茶屋に向かうのでした。

〝ルフィ太郎の恩返し〟

ルフィ太郎の恩返し(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 第918話〝ルフィ太郎の恩返し〟にて、ルフィとゾロはご飯をくれたお玉への恩返しのため、敵から奪った大量の食料と毒のない水をおこぼれ町に届けました。

 しかし、これはルフィにとって「恩返しの始まり」に過ぎません。

腹いっぱいメシ食える国(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ルフィにとっての最大の恩返しは、悪政を敷く黒炭オロチとカイドウを倒し、お玉が「腹いっぱいメシ食える国」にしてワノ国を出航することでした。

 ルフィは無事にお玉との約束を果たし、新将軍・光月モモの助の率いるワノ国は、やがて「桃源郷」へと姿を変えていくことになります。

〝鶴の仇返し〟

 〝恩返し〟が描かれる一方で、恩を仇で返す人物も登場します。

 カン十郎は20年もの長い間、光月おでんの家臣として生きてきましたが、彼はオロチと同様に、一族迫害を受けてきた黒炭家の末裔だったのです。

 〝鬼ヶ島〟への「討入り」当日、カン十郎はそれまで誰も見たことのない美しい「鶴」の絵を描き、モモの助を連れ去りました。

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