伝説の悪魔の実
五老星が覚醒を危惧する悪魔の実は恐らく「ゴムゴムの実」だろう。これには様々な根拠があるが、「ゴムゴムの実」が政府が護送するほどの実であり、世界政府関係者からも信頼を置かれているシャンクスが奪ったほどの実であることからも明らかだろう。
現時点では、新世界で戦う海賊たちの能力に比べると「ゴムゴムの実」自体には能力的な「強さ」はそれほど感じられないが、政府が危惧するのはその能力の「覚醒」である。
「ゴムゴムの実」の「覚醒」とはいったいどのようなものなのか。そして「ゴムゴムの実」の持つ「もう1つの名前」とは――。
様々な視点から「ゴムゴムの実」の可能性について考察していく。
覚醒
ドフラミンゴ曰く、悪魔の実の能力の「覚醒」は、自分以外に影響を与え始めることであるようだ。
しかし、能力の「覚醒」は超人系、自然系、動物系によって若干異なるものであると予想する。その根拠としては「己以外に影響を与える」ことが可能になる能力は限られているからだ。
例えば動物系ではインペルダウンの極卒獣が能力の覚醒者であることが判明しており、あれらは動物系の覚醒における例外である可能性もあるが、彼らだけの例でみれば人間的な知能が格段に低下するのと引き換えに、動物的な「強さ」・「頑丈さ」・「回復力」が倍増しているような印象を受ける。
自然系ではおそらく、赤犬と青雉が戦ったパンクハザードに代表されるように「天候」や「環境」を変えることが可能になるようだ。覚醒者の能力による影響はその場に留まり続け、ほとんど不変の状態になる。
そして、超人系に関してはドフラミンゴの「イトイトの実」などのように周囲の物質を糸に変えることで、より強力かつ広範囲を支配した戦いを行うことができるようになる。
もし、超人系である「ゴムゴムの実」の覚醒が、ドフラミンゴが言っていたような種類の覚醒だとしても使い方次第では攻撃力の大幅な向上を見込めるが、それだけでは政府が覚醒を危惧するほどの能力ではない。
つまり、「ゴムゴムの実」にはまだ明かされていない能力が存在し、これからそれが覚醒するのではないだろうか。
キッドとローの能力が既に覚醒しており、ビッグマムと渡り合っていたことを踏まえると、ルフィの能力がカイドウとの戦いの最中に覚醒する可能性は高い。
続いて、世界政府が「覚醒」を危惧する伝説の悪魔の実が「ゴムゴムの実」であると仮定し、覚醒について考察していく。
「ゴムゴムの実」はゴムの能力ではない?
先述のように、ドフラミンゴの言うような覚醒では世界政府が危惧するほどの「ゴムゴムの実」の危険性は説明がつかない。
ここでまず考えられるのは、ルフィが食べた悪魔の実が「ゴム」の能力ではないという可能性だ。政府はその能力の危険性を隠すために、あえて「ゴムゴムの実」という名前を付けたが、政府が危険視するその能力の真髄に「もう1つの名前をつけた」とすれば説明がつく。
だが、これまで「ゴム」の特性として説明がついていた打撃耐性や雷耐性、伸縮などのあらゆる特徴を「ゴム」以外の別の能力として説明するのは非常に困難である。
ドフラミンゴはルフィのギア4「弾む男」の攻撃について、「武装色の覇気」で「ゴム」の伸縮をコントロールする融合技であると解釈していたが、一方でカイドウは伸長の途中で軌道を変える技に対して、「ゴム」の性質上あり得ないと発言している。
このようなルフィと戦った新世界の強者の発言から考えても、ルフィの食べた悪魔の実が「ゴム」の能力ではないという可能性が浮上するが、やはり現時点でこれらをうまく説明できる特性を持った能力は存在しないように思われる。
さらに、SBSにてルフィの「ゴム」の能力が「天然ゴム」であることが判明していることからも、「ゴムゴムの実」は「ゴム」そのものの能力もしくは「ゴムのような性質を持った何か」といったものであると考えるのが自然であるように思われる。
太陽の神ニカとの関係性
百獣海賊団‟飛び六胞”のフーズ・フーのCP-9時代、「ゴムゴムの実」を護送中に「ニカ」の話をした看守が消されたという話がある。つまり、「ゴムゴムの実」と太陽の神ニカは明らかに関係しているといえるだろう。
太陽の神ニカのシルエットはゴム人間のようであった。そして「太陽」・「神」などのキーワードから、ニカはルナーリアの血を引いていたという可能性がある。
このように仮定すると、エースの死後、ルフィが「火拳銃」という技を使用していたり、ダッシュをすると火がついたり、カイドウの「熱息」が効かなかったりという場面は彼自身のルナーリア族との関連を示しているように感じられる。
ちなみにサンジも「悪魔風脚」で炎を纏っているが、これはルナーリア族である百獣海賊団大看板のキングが、政府の実験施設にいた時の「血統因子」をヴィンスモーク・ジャッジが使用したという可能性などの別の事情によるものだと予想する。
先述のように、そもそもルフィの「ゴム」の能力は「天然ゴム」であることがわかっており、天然ゴムの耐熱温度が120℃ということを踏まえると、必ずしも火に対して耐久性があるとは考えにくいといえる。
また、「ゴム」は熱硬化性という性質を持っているため熱を加えると硬くなり、限界温度を超えると軟化・変形したり、粘着質になったりするようだ。
これらの性質がどの程度「ゴムゴムの実」に反映されているかは定かではないが、「ニカ」が仮にゴム人間だったとすると2つの可能性が生じる。
- 太陽の神二カは「ゴム」(またはゴムのような)の性質を持った種族である。
- 太陽の神ニカは「ゴムゴムの実」の能力者である。
ゾロとの戦いでキングが顔を引き延ばして攻撃していたことなどもルナーリア族特有の性質だったとすれば説明できるかもしれない。
ニカが「ルナーリア族」だとすると、ルナーリア族がゴムの性質を持っているという可能性が浮上する。だが、空島でウソップの「ワゴーム」が流行するなど、「ゴム」が「青色の星」特有の物質であるとすると、地球外の種族の可能性が高いルナーリア族は「ゴム」と似て非なる特性を持っている生物なのかもしれない。
「ゴムゴムの実」特有の覚醒
これまでを踏まえて、「ゴムゴムの実」の能力の覚醒について改めて考えてみたい。
やはり、「周囲に影響を与え始める」という能力の覚醒は一部の能力に該当する話であるように思われる。
「ゴム」や「イト」、「バネ」などの物質的能力や「自然系」の能力などは周囲に影響を与える覚醒に該当するが、ローの「オペオペの実」などのような概念的能力は少し異なった「覚醒」の形をとる。
つまり、「覚醒」にはその能力に応じたバリュエーション豊かな能力向上が見込めるため、周囲に影響を与える以外にも、あらゆる可能性が広がる。
「ゴムゴムの実」には特有の覚醒状態があり、数百年前にその被害を被った世界政府は二度と同じ轍は踏ままいと、その存在を消そうと努力したのだろう。
戦いで窮地に立たされたルフィに対してカイドウの放った「窮地ほどに笑い、笑うほどに…か。」という発言が、笑うほどに「ニカ」という存在に近づいてくるという意味を表しているのならば、彼は「Dの一族」、もしくは「ゴムゴムの実」についての何らかの伝承を知っている可能性が高い。
仮に「ゴムゴムの実」の「覚醒」が「ニカ」と関連しているとすると、政府が危惧するほどの「覚醒」についての説明がつくかもしれない。
おそらく、この悪魔の実の覚醒の危険性は、単なる「強さ」によるものというよりは、政府にとっての「危険度」そのものという意味合いが強いと感じている。
‟人々を笑わせ、苦悩から解放する”奴隷解放の象徴「太陽の神ニカ」そのものが復活するとしたら、政府にとっての危険度は相当なものだろう。
「ゴムゴムの実」の覚醒が「太陽の神ニカ」そのものだとすれば、世界政府による「支配」から人々を解放する世界の「夜明け」が訪れることになる。
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