最後の島
第996話にて、偉大なる航路の記録指針が示す最終地点はラフテルではなく「水先星島」という島であることが発覚した。
イヌアラシによれば、
本来ならば―その〝記録〟の終着点で初めて気づくのだ〝歴史の本文〟と〝古代文字〟の「謎」に…!!! ―それを生み出した文明と見えぬ最後の島「ラフテル」の存在に!!
出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社 第820話
記録の終着点「水先星島」にはいったい何が存在するのだろうか。
ロジャー海賊団はその島に行きつき、そこが最後の島ではないことを知ることで冒険を大きくやり直したという。
偉大なる航路の記録の終着点「水先星島」について考察していくことで、最後の島「ラフテル」の手がかりが見つかるのではないだろうか。
ロードスターとは
まず、この島に付けられた「ロードスター」の意味について考えてみたい。
水先星島は英語では「lodestar Island」と表記するようだ。
「lodestar」とは目標や指針、北極星などという意味があり、昔の航海士は道に迷わないように北極星を目印にしていたと言われている。
ワンピースにおいては、偉大なる航路を突き進む海賊たちの目指すべき場所としてこの名前が付けられたと考えられる。
名前に用いられている「水先星」と「北極星」から何かこの島の秘密が隠されているようにも感じる。
「水先星」の意味を考えるにあたって、第19話で初めて描かれたシャンクスとバギーのとある口論との関連から考えてみたい。
北極・南極論争
注目したいのは、ロジャー海賊団の見習い時代のシャンクスとバギーによる「北極・南極論争」である。
この場面では北極と南極のどちらが寒いかという論争が行われ、バギーは北極、シャンクスは南極が寒いという意見で言い合いになっている。この論争は最初に第19話で描かれ、さらに第967話でも再度描かれている。
何気ない1コマかもしれないが、この論争が何らかの意味を持つと考えるとおもしろいかもしれない。
昔の船乗りが目印とした北極星(ロードスター)が、ワンピースの世界における「水先星島」と対比されているとすると、現実世界におけるかつての船乗り達にとっての「北極星」もワンピースにおける海賊達にとっての「水先星島」も、本来の目的地に辿り着くための目印・指針というわけである。
北極と南極というと「ロードスター」という言葉の持つ「北極星」という意味との関連が気になるところである。
「水先星島」が偉大なる航路を一周した地点だとすれば、偉大なる航路の入り口であるリヴァース・マウンテンに近い可能性が高い。実はリヴァース・マウンテンは冬島なのである。
偉大なる航路後半の海‟新世界”は北の海と西の海に挟まれており、北に近いところにある、
「水先星島」が青色の星でいうところの北極付近に位置し、「北極・南極論争」がラフテルの位置を暗示するものだと仮定すれば、バギーの北極説は外れ、シャンクスの南極説が正しいということになる。
このように考えれば、ラフテルは青色の星の南側に存在しているということになる。
「水先星」の意味
「水先」という言葉には「水の流れていく方向」、「船の進行方向」という意味がある。また、「水先案内」という「航行を安全にするために案内すること」や「その人」を意味する言葉も存在する。
「水先星島」が辿り着いた海賊をラフテルへ安全に航行する案内をする島ということからこの名前が付けられたのではないだろうか。
では「水先」の後につく「星」はどのような意味を持つだろうか。
ここでは、「水先星島」が案内することになる最後の島ラフテルが「星」そのものである可能性を示唆しているのではないだろうか。800年間、ロジャー海賊団を除いて誰1人として辿り着けなかったラフテルが青色の星に存在していないという可能性は十分にあり得る。
最後の島ラフテルはどこかの星に存在する島なのだろうか。
ラフテル
ここまでの仮説を正しいとするならば、ラフテルは「南」に位置する「星」であるということになる。
しかし、我々の住む地球で考えるならば地球から見た星というものは、それぞれの自転や公転などによって絶えず移動するはずなので、「南」にずっと存在しているということはまずありえない。
唯一可能性があるとすれば、南極の直上にその星が存在し、星自体が動いていないようにみえるという場合のみである。
この条件を満たすものとして挙げられるのは、「南極星※」である。
※地球上の観測地点を通り地球の自転軸が天球と交わる2点のうち北側にあるものを「北極星」、南を「南極星」と呼ぶ。「天の北極」にあるのが「北極星」、「天の南極」にあるのが「南極星」である。厳密には歳差運動という現象によって「天の北極(南極)」は移動するため、「北極(南極)星」の役割を担う星は交代していく。
中国ではカノープス(りゅうこつ座のα星)が南極星とされ、中国の天文学では人の寿命を司るとされている。この星が見えているときには平和が訪れ、見えないときには戦乱が起こるとも言われている。
イヌアラシはラフテルを‟みえぬ”島と表現しており、ラフテルが見えたとき、本当の平和が訪れるのかもしれない。
何者かが「星」に〝ひとつなぎの大秘宝〟を隠したのだとすれば、誰一人として800年間辿り着けなかった理由にも頷ける。
「巨大な王国」は空を飛んでいる?
ノーランドが発見した黄金郷シャンドラは「突き上げる海流」に乗って空へ飛ばされ、空島となってた。
跡形もなく消え去ったという巨大な王国の遺跡はプルトンに消し去られたのではなく、上空へ移動し、空のずっと上に存在しているという可能性もある。
4つの赤い「ロード歴史の本文」を見つけた時、見えぬ最後の島ラフテルが「浮かび上がる」というイヌアラシの発言はラフテルが空に浮かんでいる島であることを暗示していたのかもしれない。
「ラフテルは星となった島である」という今回の結論は少し妄想的と思われるかもしれないが、「水先星島」の存在が発覚したことでラフテルが偉大なる航路に存在する必要性がなくなったことは確かだ。
記録の最終地点「水先星島」と最後の島「ラフテル」にはいったい何が待ち受けているのだろうか。
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