【必読】現代の‟神話”「ONE PIECE(ワンピース)」―その思想と終着点―

ワンピース研究・考察
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(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 発行部数4億9000万部(2021年7月19日時点)を誇る日本を代表する漫画「ワンピース」。

 この漫画を読み解く上で欠かせないことは、作者が描きたい「思想」を知ることではないだろうか。

 ワンピースが我々を魅了するのは、そのストーリーのみならず各所にちりばめられた謎や伏線の数々だ。現在も多くの考察がなされており、読者を魅了し続けている。

 ワンピースにおける最大の謎の1つは「空白の100年」であるといえるだろう。

 「世界政府」は「空白の100年」が終わる約800年前に誕生した組織であり、20の王国(アラバスタを除けば19)に敗北した王国‟存在”とその‟思想”が物語の終着点について探る手掛かりとなる。

‟思想”(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ワンピースは非常に抽象的な表現をするならば「世界平和」に準ずる終わりを迎える。

海賊王の条件(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ワンピースは「自由」と「支配」が大きなテーマであり、その対立構造が「戦争」と「平和」「奴隷」と「解放」「革命」などで描かれている。主人公モンキー・D・ルフィは「海賊王になる」という「信念」を掲げ、「自由」を目指して〝偉大なる航路グランドライン〟を突き進む。

 また、我々人類が抱える様々な課題「貧困」・「麻薬」・「差別」・「人種問題」なども扱われており、人類が持つ根源的な「問い」に寄り添っている。

 そのすべての解決こそが「世界平和」となり、ワンピースという物語の終焉を意味すると考えられる。もちろん、現実世界はより複雑で簡単に「平和」と呼べるような世界にはならないかもしれないが、尾田栄一郎氏は「漫画」だからこそ描ける「平和」に向けた〝思想〟を伝えようとしているのではないだろうか。

夢の果て(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 世界平和こそがルフィの「夢の果て」に必要な要素であり、数百年分の歴史を背負って世界政府に挑むことこそが〝ひとつなぎの大秘宝ワンピース〟につながる。

 「平和」に向けた1つの〝思想〟1つの「平和」の形を描くことが作者の真の目的であり、これこそが私がワンピースを「現代の神話」と考える大きな理由の1つである。

 ワンピースは人類が抱える様々な課題に目を向け、多くの人が望みながらも決して叶うことのなかった「平和」への希望を照らして、私達が現代社会を生き抜く指針を示してくれる。

 「ワンピース」はバラバラになった「この世のすべて」を〝ひとつなぎ〟にして「ONE PIECE(1つのピース)」を生み出し、「ONE PEACE(1つの平和)」を描く物語なのかもしれない。

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