ふなだいく
第323話ではメリー号の修復のためにウォーターセブンに向かう船での〝麦わらの一味〟の様子が描かれている。新たに仲間にする船大工について話し合う描写で、ルフィは5mの体格がある大男を探すと発言していた。

ここでルフィによって「ふなだいく」の絵が描かれることになるが、この場面にはいくつか情報がある。今回はこの描写における発言をもとに「タコの血を引いた5mの船大工」が存在するという可能性を出発点にして魚人島の方舟ノアを造った人物について考察していく。
方舟ノアとある一族

これは魚人島編において、しらほしの力に従って現れた海王類がノアを運ぶ描写である。魚人島編で魚人島へ落下するノアを止めるためルフィがノアの破壊を試みたことで損傷してしまったノアの修復に関して海王類が話し合っている。
この描写で注目すべきことはノアを直すために「ある一族」の力が必要なこと、そしてこの場面にフランキーの師匠であるトムの弟・デンとタコの魚人・ハチが描かれていることである。
以前、ノアを造った一族がトムの一族である可能性について言及したが、海王類の発言の直後にデンが描かれていることからもその可能性は示唆されている。
そしてデンの次に描かれたのは「タコの血(正確にはタコの魚人の血)」を引くハチだ。ハチはアーロンパークにおける戦いから登場しており、シャボンディ諸島編でも登場していることから〝麦わらの一味〟とは何かと縁がある魚人の1人である。
実はタコの魚人はハチ以外にも多く登場しており、タコトパス海賊団船長・カルマやハチが思いを寄せていたオクトパ子、新魚人海賊団の剣士ヒョウモンダコの魚人のヒョウゾウなどがいる。
5mの大男
ここで忘れてはならないのは「5m」という船大工の体格だ。例の描写が意味のあるものだとすれば「5m」という数字にも意味がある可能性が高い。
大きさでだけでいえば巨人族を想起させるが、巨人族は一般的な人間の7~10倍ほどで最低でも12mの背丈がある。例えば元巨兵海賊団のドリーとブロギーはそれぞれ22mと21.3mであることを踏まえれば成人で5mの巨人族は存在しないと考えられる。
5m程度の身長を持つ登場人物はダイヤモンド・ジョズ(503cm)、アバロ・ピサロ(505cm)、カタクリ(519cm)、チンジャオ(520cm)などが挙げられ、必ずしも巨人の血を引いているわけではなさそうである。
そして実は5m程度の魚人もこれまでに登場している。マダム・シャーリー(520cm)、フィッシャー・タイガー(520cm)、リュウボシ(544cm)などが挙げられ、フカボシは604cm、しらほしやネプチューンに至ってはそれぞれ11.87m、12.2mもの大きさがある。
つまり、ワンピースにおいて5mという身長は巨人の血を引いていなくともあり得るものであり、魚人に至っては巨人族ほどの大きさの種も存在する。ちなみにハチは220cm、デンは435cmである。
〝魚巨人ウォータン〟

作中には魚人と巨人のハーフ〝魚巨人〟が登場している。ロングリングロングランドで行われたデービーバックファイトにおけるグロッキーリングで登場したビックパンは〝魚巨人〟であり、ゾロは身長181cmであることから、5m以上と予想される。
このような種族であればその大きさにも「ある一族」という言葉にもある程度説明がつくかもしれない。魚人族は人間と異なった遺伝をするため、巨大な魚人が必ずしも巨大な魚人を生むとは限らない。

しかし、これは魚人の種に関してであり、巨人と魚人のハーフが生んだ子供は大きい可能性が高い。しかし、その後の子孫の魚人の血が濃くなるごとに体は小さくなると考えられる。
海王類の「時代が変わった」という言葉にはこのような意味が隠されているのかもしれない。魚人や人魚が差別され、魚人島から地上に上がれないと他種族による混血は望めない。
ノアを直せる人物とは―
ここまでルフィの絵を出発点にノアを直すことのできる一族について考察してきた、タコの血を持った〝魚巨人〟がノアを造ったという可能性は否定できない。
だが、あれだけ大きな舟を造るには一人では容易ではなさそうであることから、数百年前に巨人の血が入った魚人の一族総出でノアを造りあげたのかも知れない。現在よりも技術の発達していない時代には水中を航行する舟を魚人しか造れない可能性が高く、巨大な舟であれば5mの体格は必要不可欠といえる。
そして、それを統率した船大工がタコの魚人だったのかもしれない。ハチが六刀流、ヒョウゾウが八刀流の剣士だったようにタコが持つ八本の手足があれば、多くの作業をこなすことができるため、優秀な船大工になることができるだろう。
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