【文学とワンピース】『レ・ミゼラブル』

ワンピース研究・考察
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『レ・ミゼラブル』

 『レ・ミゼラブル』はフランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーの長編小説。

 一切れのパンを盗んだ罪で逮捕されたジャン・バルジャンが、当時の動乱の中を懸命に生きていく姿が描かれている。

  ワンピースと深い関連を持つフランスを代表する傑作であることに加え、フランス革命ナポレオン戦争直後の19世紀初頭の動乱期の様子を描いた作品だ。

『レ・ミゼラブル』と「ドレスローザ」

 『レ・ミゼラブル』はドレスローザ編の過去回想と重なる部分がある。

ジャン・バルジャンとキュロス

キュロス(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ジャン・バルジャンはパンを盗んだ罪と脱獄を繰り返した罪で19年間、キュロスは殺人の罪で9年間捕らえられる。

 罪を背負った彼らは後に、それぞれ市長と王国の軍隊長として新たな人生を歩むことになる。

フォンテーヌとスカーレット

オモチャの兵隊とスカーレット(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ジャン・バルジャンはフォンテーヌ、オモチャの兵隊となったキュロスはスカーレットの死に際に娘を託される。

 キュロスがスカーレットから受け取ったのは、かつてバルジャンが姉の子供達のために盗んだものと同じ1つのパンだった。

スカーレットの死(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

コゼットとレベッカ

レベッカとオモチャの兵隊さん(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ジャン・バルジャンはフォンテーヌの子コゼットを、キュロスはスカーレットと自らの子レベッカを立派に育て上げている。

〝あゝ無感情海遊記〟

 コゼットという人物は、ジェルマ66に使える料理長としてホールケーキアイランド編に登場する。

コゼット(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ホールケーキアイランド編の後にジェルマのその後を描いた短期集中表紙連載〝ジェルマのあゝ無感情海遊記〟は『レ・ミゼラブル』の邦題『あゝ無情』を模したものと考えられる。

ドラム

 『レ・ミゼラブル』はミュージカル作品としても人気が高く、劇中歌も魅力の1つである。

 その中の1つ、革命の意志を抱く民衆の歌う『民衆の歌』は、〝海賊の唄〟『ビンクスの酒』と共通点がある。それぞれのサビ部分と4番の歌詞を見てみよう。

戦う者の歌が聴こえるか

鼓動があのドラムと響き合えば

新たに熱い生命が始まる

明日が来たとき そうさ明日が 

『民衆の歌』サビ部分(レ・ミゼラブル)

嵐が来たぞ 千里の空に

波が躍るよ ドラムならせ

おくびょう風に 吹かれりゃ最後

明日の朝日がないじゃなし

『ビンクスの酒』4番(ワンピース)

 それぞれの歌の冒頭部を聴いてみると、歌詞だけでなくリズムやメロディが似ていることがわかる。

 ワノ国編では〝太陽の神ニカ〟の能力を覚醒されたルフィが「解放のドラム」と呼ばれる心臓の鼓動により復活する場面が描かれる。

最後に

 フランス革命を起源とするフランス共和国の標語「自由・平等・友愛」は、『レ・ミゼラブル』にも『ワンピース』にも反映されている。

 『レ・ミゼラブル』は「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」という人間社会に根付く重要なテーマを扱った傑作である。

 作者ヴィクトル・ユゴーはこの作品についてこう話している。

「この世に無知と貧困がある限り、この種の物語は、必要であろう」

 ワンピースとの関連を抜きにしても、この先も語り継がれていくであろう最高の傑作なので、ぜひ映画やミュージカル、小説などで触れてみてほしい。

参照:https://www.tohostage.com/lesmiserables/index.html

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