『レ・ミゼラブル』
『レ・ミゼラブル』は、フランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーが自身の体験を基に、19世紀初頭のフランスの動乱期を描いた長編小説です。
物語は、妹の子供達の飢えを満たすため一切れのパンを盗んだ罪で逮捕されたジャン・バルジャンが、厳しい時代を懸命に生き抜く姿を描いています。
バルジャンの数奇な人生を通じて、人間の罪と赦し、そして社会の不条理が鮮やかに浮かび上がります。
同作品はワンピースとも深い関連を持つフランスを代表する傑作であり、フランス革命やナポレオン戦争後の19世紀初頭という、激動の時代背景が描かれている点も大きな魅力です。
作者ユゴーはこの作品について、こう言い残しています。
「この世に無知と貧困がある限り、この種の物語は、必要であろう」
『レ・ミゼラブル』と「ドレスローザ」
『レ・ミゼラブル』はドレスローザ編の過去回想と重なる部分があります。
バルジャンとキュロス
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ジャン・バルジャンは、パンを盗んだ罪と脱獄を繰り返した罪によって19年間投獄されました。一方、キュロスは殺人の罪で9年間囚われの身となります。
それぞれ、バルジャンは教会の司教に、キュロスは当時のドレスローザ国王リク・ドルド三世に救われ、やがてバルジャンは市長に、キュロスは王国の軍隊長として新たな人生を歩み始めます。
しかし、どれほど立派な道を進もうとも、過去に背負った罪や過ちは常に彼らの運命に影を落とし続けるのです。
フォンテーヌとスカーレット

バルジャンはフォンテーヌ、オモチャの兵隊となったキュロスはスカーレットという女性に、死に際に娘を託されます。

キュロスがスカーレットから受け取った食べ物には、かつてバルジャンが姉の子供達のために盗んだものと同じ1つのパンがありました。
コゼットとレベッカ

ジャン・バルジャンはフォンテーヌの子コゼット、キュロスはスカーレットと自らの子レベッカと共に暮らし始めます。
〝あゝ無感情海遊記〟

コゼットという人物は、ジェルマ66に仕える料理長としてホールケーキアイランド編に登場します。

また、『レ・ミゼラブル』には、フォンテーヌが娘コゼットを預けていた宿屋の娘エポニーヌと名前のよく似たエポニーという使用人が登場しています。
ホールケーキアイランド編の後には、ジェルマ66のその後を描いた〝ジェルマのあゝ無感情海遊記〟という短期集中表紙連載が描かれてました。
これは、『レ・ミゼラブル』の邦題『あゝ無情』を模したものでしょう。
ドラム
『レ・ミゼラブル』はミュージカル作品としても人気が高く、その劇中歌も魅力の1つです。
その中に、革命の意志を抱く民衆達が歌う『民衆の歌』というものがあります。これが、〝海賊の唄〟『ビンクスの酒』と非常によく似ているのです。
参照:https://www.tohostage.com/lesmiserables/index.html
戦う者の歌が聴こえるか
鼓動があのドラムと響き合えば
新たに熱い生命が始まる
明日が来たとき そうさ明日が
『民衆の歌』サビ部分(レ・ミゼラブル)
嵐が来たぞ 千里の空に
波が躍るよ ドラムならせ
おくびょう風に 吹かれりゃ最後
明日の朝日がないじゃなし
『ビンクスの酒』4番(ワンピース)
それぞれの歌を聴いてみると、歌詞だけでなくリズムやメロディがどことなく似ていることがわかります。『ビンクスの酒』は『民衆の歌』がモデルなのかもしれません。
ミュージカル版の公式サイトには、『原作の持つ「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」といったエッセンスを(中略)注ぎ込んだ』と記されています。
そして、このエッセンスは、『ワンピース』という作品の中にも色濃く息づいているといえるでしょう。




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