【ワンピース考察】「世界政府」と「ワノ国」

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「世界政府」と「ワノ国」

 ワノ国は「世界政府」に加盟しない鎖国国家で〝侍〟という剣士達が強すぎて海軍でさえも近寄れないと強国であるとされている。

鎖国国家(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 この発言からは世界政府でも手に負えないような強力な侍が多く存在するように感じられるが、ワノ国編を見る限り現状は少し異なるようだ。

 ワノ国はカイドウ率いる「百獣海賊団」と将軍オロチによる支配が行われていた。海軍も近寄れないというワノ国の脅威は〝侍〟ではなくカイドウということになる。

 「世界政府」がワノ国に手を出さないのはカイドウの強さが大きな要因の1つといえるだろう。

 そしてもう1つはオロチと政府関係者との取引であると考えられる。

  光月おでんによればワノ国の‟鎖国”には光月に深く関わる理由があり、光月家は大昔に〝巨大な力〟からワノ国を守るために‟鎖国”を行ったという。

 おそらくこの主要な理由は光月家が〝歴史の本文ポーネグリフ〟を刻むことができた石工だったからであろう。

「世界政府」にとって不都合な歴史を後世に伝えようとしたワノ国に対して、おそらく政府は強硬な手段をとったと考えられる。

 ワノ国が世界から狙われたもう1つの理由はワノ国が「黄金の国」と認識されていたことだ。

黄金の国(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 これはワノ国を滅ぼそうとする政府の陰謀によるものという可能性もあるが、この頃にリューマを始めとしたワノ国の侍たちが活躍したことで世間におけるワノ国への認識が生まれたと考えられる。

 しかし、後にワノ国にやってきたカイドウが屈強な〝侍〟を倒してしまったため、世間の認識とは異なる脅威が出来上がってしまったようだ。

 実はカイドウを後ろ盾にしたオロチと「世界政府」の取引のみならず、ワノ国と世界政府を結びつけるような描写は作中にいくつか登場している。今回はワノ国と世界政府の関係性について考えていく。

海軍

旧海軍本部(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 まずは「世界政府」の三大機関の1つ「海軍本部」だ。頂上戦争以前の海軍本部は和風の建造様式であり、日本をモデルとするワノ国との関連が見受けられる。

 また、海軍本部には和名の人物が何人か在籍している。

 元帥「赤犬(本名:サカズキ)」をはじめ、前元帥のセンゴクや海軍本部中将〝大参謀〟つるも和名である。他にも海軍大将「藤虎」(イッショウ)やヒナ、たしぎといった海兵も和名を持っている。

 だが、彼らは藤虎を除いて〝偉大なる航路グランドライン〟の出身者ではないことが判明しており、ワノ国で生まれた可能性は現時点では否定されている。

 とはいえ、海兵の特に元帥や海軍大将など実力者に和名の人物が多いという事実は非常に興味深い。

 ワノ国は鎖国国家であるため外界に出ることは法律で禁止されていることやそれぞれの海兵が自らの意志で入隊した可能性が高いことを踏まえれば、全く関係がないかもしれない。

 しかし、和名の海兵達がワノ国にルーツを持っているという可能性は現時点では否定できない。

闇取引

 ワノ国と関係性が示唆されているのは「海軍本部」だけではない。

 「世界政府」直属の諜報機関であるCP(サイファーポール)もワノ国と関係がありそうである。

 エニエスロビー編のCP-9はルッチ、ジャブラ、カクのような動物ゾオン系能力者が多い集団であり、同様に動物ゾオン系古代種や人造悪魔の実「SMILEスマイル」の能力者集団である「百獣海賊団」との関連が見られる。

 また、当時のCP-9長官だったスパンダムは自らの剣にゾウの〝悪魔の実〟を食わせており、カリファ、カクに悪魔の実を渡したときに彼の持つ「コネ」について話していた。

 この「コネ」が必ずしもワノ国と政府の取引を示す根拠になるわけではないが、将軍であるオロチが希少な「幻獣種」の能力者であることやパンクハザードにおける公開実験を見ている人物の中にルッチのような人物が描かれていたなどからも政府関係者が闇取引との関係があることは間違いない。

ルッチ(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 また、オロチはルッチが現在在籍しているサイファーポールの最上位機関CP-0とつながっており、闇取引によって兵器や悪魔の実が売買されている可能性は十分に考えられる。

 この闇市場には闇の仲買人〝ジョーカー〟だったドフラミンゴが大きく関わっており、このような点からもドフラミンゴは政府にとって重要人物であったといえるだろう。

取引商品

 ワノ国が闇取引を行っていれば当然、世界と対等に取引するための輸出品が必要になる。可能性として挙げられるのはワノ国の技術を生かした刀や特産品などである。

 また、ワノ国が持つ最も強力な商品の1つと考えられる重要な商品が存在する。

 海のエネルギーを発し、悪魔の実の能力を無効化する「海楼石」だ。

 ホーキンス曰く「海楼石」はワノ国で生まれており、ワノ国の加工技術は取引にうってつけである。

海楼石(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 実は「海楼石」を使用している描写が描かれている組織や人物は限られており、海軍本部やインペルダウンなどには「海楼石」の手錠や監獄が存在する。

 「海楼石」が最初に登場したのはローグタウンにいたスモーカーの海楼石の十手で、その他に個人で海楼石を武器として使用している登場人物はそれほど描かれていない。

 また、犯罪組織であるバロック・ワークスやパンクハザード、ドレスローザでも海楼石の檻や手錠が登場している。いずれも闇取引と関係のある組織である。

 能力者がうごめく〝偉大なる航路グランドライン〟において「海楼石」の価値は非常に高く、原産国であるワノ国は絶好の取引相手である可能性が高い。

 空島においてもワイパーが海楼石を使用していたがこれは別の理由によるものだと予想している。

関係性

 ここまで述べてきたようにワノ国と「世界政府」の関係は「闇取引」に端を発すと考えられる。

 ドフラミンゴが牛耳りシーザーが製造する人工悪魔の実「SMILE」とその最大取引相手であるカイドウ、闇取引市場とカイドウという虎の威を借りて政府と取引を行う政府関係者と黒炭オロチ。

 屈強な〝侍〟達によって政府による支配に対抗してきたワノ国は、カイドウがやってきてからは「世界政府」の取引相手として結果的に鎖国状態を続けることができており、政府の支配を免れている。

 

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