【ワンピース考察】〝黒ひげ〟と「ケルベロス」

ONE PIECE
スポンサーリンク
スポンサーリンク

ケルベロス

 ケルベロスは『ギリシャ神話』に登場する三つ首を持った冥府の番犬。

 スリラーバーク編では、「ホグバックの医術」と「モリアの能力」によって生み出された2つの犬の頭と1つのキツネの頭を持つケルベロスのような生物が登場した。

 スリラーバーク編が始まる直前、エニエスロビー編の最終話には、後に頂上戦争の引き金となったエースと〝黒ひげ〟の「バナロ島の決闘」が描かれている。

バナロ島の決闘(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

三つ首の怪物

サーベル・オブ・ジーベック号(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 〝黒ひげ〟の異名を持つ海賊マーシャル・D・ティーチとケルベロスの関連は〝黒ひげ海賊団〟の「3つドクロ」の海賊旗から示唆されている。

 ルフィとゾロが初めてティーチと出会った際、彼らはティーチを「あいつら」と表現しており、彼の中に複数の人格を確認した可能性がある。

「あいつら」(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

  また、〝黒ひげ海賊団〟の船「サーベル・オブ・ジーベック号」は、直訳で「ジーベックの剣」を意味する。

 ジーベックといえば、海賊ロックス・D・ジーベックが想起される。ケルベロスはハデスの忠実な番犬だったように〝黒ひげ〟もまたケルベロスのような存在なのかもしれない。

バスカビル家の犬

 エニエス・ロビー編には〝3つ首のバスカビル〟という裁判長が登場した。

 この名はイギリス作家コナン・ドイル著『シャーロック・ホームズ』シリーズの『バスカヴィル家の犬』がモデルと考えられ、彼らは3つ首の番犬ケルベロスを彷彿ほうふつとさせる。

〝三つ首のバスカビル〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 彼らの顔はそれぞれ、〝黒ひげ〟(右)〝白ひげ〟(中央)サッチ(左)によく似ている。

 〝黒ひげ〟がサッチの〝ヤミヤミの実〟と〝白ひげ〟の〝グラグラの実〟を奪ったという事実から、バスカビルは〝黒ひげ〟の正体を暗示している可能性は高い。

 後にバスカビルは、同じ服を着た仲良し3人組が正体と判明しており、〝黒ひげ〟の中に3人の人格が宿っている可能性はさらに高まった。

〝異形〟

 3つの顔が交代で眠るケルベロスのように〝黒ひげ〟も生まれてこのかた眠ったことがないという。

 頂上戦争において、本来不可能とされる2つの〝悪魔の実〟を食べた〝黒ひげ〟に対し、マルコは「体の構造が〝異形〟」と発言した。

〝異形〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 〝黒ひげ〟は描写によって歯並びが異なっていることがこれまでに何度も読者に指摘されているが、これが意図的に描かれたものなのかは現段階では不明である。

 「体の構造が〝異形〟」という言葉は、単なる〝悪魔の実〟の能力者には使用しない表現だろう。

「魂」と〝黄泉の国〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 死んだ人の「魂」は〝黄泉ヨミの国〟に行くとされ、ケルベロスは冥界(つまり〝黄泉の国〟)から逃げ出そうとする亡者の魂を貪り食うとされる。

 「仲間殺し」の末、逃亡したティーチを追うエースの制止を訴えたシャンクスに対し、〝白ひげ〟は殺されたサッチの「魂はどこへ行くんだ」と発言した。

船員むすこの魂(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

自らの隊の隊員だったティーチを追おうとするエースもまた、「サッチの魂」について言及している。

サッチの魂(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 2年の修行を経て〝ソウルキング〟となったブルックは、「私をこの世に生かす〝力〟は…(中略)〝チャマスィー〟!!!」と発言している。

 〝悪魔の実〟の能力が「魂」に宿るとすれば、〝悪魔〟を宿した魂を食らうことで、能力を手に入れることができるのかもしれない。

チャマスィー〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 〝ヤミヤミの実〟には「〝悪魔の力〟を引きずり込む」能力がある。「魂」から離れようとする〝悪魔〟を引き寄せることで能力を奪っているとも考えられる。

 しかし、〝黒ひげ海賊団〟は〝黒ひげ〟以外の船員も「能力者狩り」を行っていることから、能力者から能力を奪う手段は別にもあると考えられる。

〝闇〟が引きずり込む〝悪魔の力〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 「ケルベロス」という言葉はギリシャ語で「底なし穴の霊」を意味し、「全てを引き寄せる闇の引力」の能力者となった〝黒ひげ〟を彷彿とさせる。

闇穴道ブラック・ホール〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

ウソップの〝ウソ〟

ケルベロスとドラゴン(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ウソップの〝ウソ〟の中にも「ケルベロス」は登場した。ウソップのこれまでついてきた〝ウソ〟は現実になったものが多い。

 ワノ国の大剣豪・霜月リューマには「竜斬り伝説」、パンクハザードにはドラゴンが存在したように、ケルベロスもまた、今後登場する可能性が高い。

犬猿の仲

ルフィと〝黒ひげ〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 これまで、ルフィと〝黒ひげ〟は明らかな対立関係が描かれてきた。

 「モンキー」姓を持ち、「猿神」ハヌマーンがモデルとなったルフィと、冥界の番犬「ケルベロス」との関連が示唆される〝黒ひげ〟には「犬猿の仲」という言葉がぴったりだろう。

 第542話〝やがて語られるもう1つの事件〟では、囚人暴動が発生したインペルダウンに〝黒ひげ海賊団〟が現れた。彼らは文字通り地獄に現れたのである。

 この話の扉絵には〝黒ひげ〟の装飾品に似た首飾りをつけたが描かれている。

(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)
〝黒ひげ海賊団〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 〝黒ひげ〟の好物「チェリーパイ」もまた、甘いもの好きのケルベロスを想起させる。

〝黒ひげ〟と「ケルベロス」

 〝黒ひげ〟と「ケルベロス」には明らかな関連がある。

 だが、〝イヌイヌの実〟幻獣種モデル〝ケルベロス〟の能力者なのだろうか。

 〝黒ひげ〟以外に〝悪魔の実〟を2つ食べた前例がないこと、〝黒ひげ〟が能力を使用した描写がないことなど(その他様々な理由)から、彼がケルベロスの能力者である可能性はそれほど高くない。

 ウソップの〝ウソ〟の1つ「伝説のモグラ」は、アラバスタ編で登場した〝モグモグの実〟の能力者ではなく、短期集中表紙連載〝ゲダツのうっかり青海暮らし〟にて「伝説の土番長」として登場した。

伝説の土番長(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 「ドラゴン」の存在も然り、青色の星には本物の「ケルベロス」が存在するのかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました