【日本文学とワンピース】『走れメロス』

文学

『走れメロス』

 『走れメロス』は、太宰治の短編小説。3日間の処刑猶予を与えられたメロスが、人質となった親友のため、数々の苦難を乗り越えて処刑場に帰還するまでを描いた物語である。

 ある日、妹の結婚式に必要な品々を買いにシラクスを訪れたメロスは、人間不信に陥った王が民衆を殺しているという話を聞き激怒する。

 王を殺すため城に侵入して捕らえられたメロスは死刑を言い渡されるが、妹の結婚式を挙げるため、親友を人質に3日の猶予を王に申し出る。

 人間を信用しない王はメロスが帰ってくるはずがないと思いながらも、その時は親友を殺すまで、とメロスの申し出を受け入れる——。

メロスとノーランド

モンブラン・ノーランド(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 空島編で描かれたモンブラン・ノーランドの物語は、親友のために走り抜いたメロスと関係が深い。

 400年前、ルブニール王国の探検家だったノーランドは、美しい鐘の音を頼りにジャヤという島に辿り着く。そこでは、流行り病を鎮めるため神に生贄をささげる儀式が行われていた。

 生贄となった娘の命を救うため、彼はその島で神と崇められる大蛇の首をはねた。

ノーランドとカシ神(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 これに怒った村人達は一刻も早いノーランドの処刑を望むが、彼は王国から共にやってきた他の乗組員を人質・・に、病に効く薬を作るための猶予を懇願する。

〝悪霊〟(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 ノーランドは約束通り、村人達の病を治すことに成功し、処刑を免れた。ルブニール王国に帰還したノーランドはジャヤの〝黄金郷〟の存在を国王に伝え、王を連れて再び島へ向かった。

 彼の迎える最終的な結末は、メロスと同様とはいかなかった。

 『走れメロス』では、自らの処刑場に戻ったメロスにひどく感動した王が処刑を取りやめるという結末を迎える。

 かつてのジャヤに〝黄金郷〟の姿はなかった。国王を偽った「うそつき」の罪により、ノーランドは処刑されてしまう。

ノーランドの死(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

「おでんは激怒した」

光月おでん(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 「メロスは激怒した。」

 この有名な一説で始まる『走れメロス』は、日本がモデルのワノ国編でも描かれている。

 ロジャーとの冒険の末、ワノ国に帰還した将軍家跡目光月おでんは、将軍の座に就き悪政を続ける黒炭オロチに激怒する。

おでんとオロチ(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

 彼を殺すため城に向かったおでんは、2人の強力な能力者によってオロチを殺すことができず、捕らえられてしまう。

 こちらもノーランドと同様、行きつく先は処刑であった。

おでんの死(出典:尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社)

コメント

タイトルとURLをコピーしました